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 「没後150年 歌川国芳展-幕末の奇才浮世絵師-」#2
- 2012/02/03(Fri) -
僕は、伝統工芸、民芸に幼少期からふれる機会があって、
日本の美がとても身近だったんですね。
今でも日本の美術は好きで、美術館にはよく足を運んでいるんですが、
そこで最初に衝撃を受けたのが、絵師の葛飾北斎でした。
北斎から始まって、北斎の周辺の人物がおもしろいと
深めていって出会ったのが歌川国芳。
国芳は、絵のウマさ、繊細さというのを、もちろん持っているんですが、
その繊細さ以上に、大胆さと力強さが絵から溢れ出しているところが好きです。

特に、初めて”骸骨”の絵を見たときは、その衝撃でした。
骸骨自体は、伊藤若冲をはじめ、
いろいろな絵師がモチーフにしていますが、これだけ写実的に描くという発想は、
日本の絵の伝統的なデッサンの流れのなかからでてきたものではないと思います。
日本人の感覚を飛び越えちゃっている、この絵の衝撃は強かったですね。

しかも、この写実的な感じというのは、
海外の絵を模写するなどして勉強している結果、生み出されたもの。
良いものをしっかり学びながら、自分の作風に取り入れて作品を
作りあげているところも尊敬しますね。

また、浮世絵には”国芳の系譜”とでもいうべきものがあるんですよ。
彼の元に集まってくる弟子たちの顔ぶれが素敵で、
国芳以降から、歌川一門に”異端”の絵師たちが突然増えてるんです。
例えば、月岡芳年。歌川一門の”美しさ”の部分を受け継ぎながら、
血みどろな部分も描いたりしていて、そのギャップが面白いし、
幕末から明治にかけて活躍した河鍋 暁斎にも色濃く、
国芳の影響がでていると感じます。
弟子を連れて街を闊歩する国芳一門の絵がありますが、
一番左の顔が見えないのが、歌川国芳。
自分の顔だけは描かないところも粋ですよね(笑)。


(国芳の絵の中で特に好きなものは、)
先ほども語った『相馬の古内裏』の骸骨ですね。
ほかには、『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』の巨大魚もいいですね。
鱗と波の表現や、悪そうな顔を描き切ってます。
このシーンは鎮西八郎為朝が巨大怪魚に乗ろうとする
歌舞伎を元にしたシーンが描かれているのですが、
為朝を助けるために烏天狗が、周りに集まっていて、
この烏天狗だけ、着色していないところなども、グッとくる。
3枚続きの、まるでテレビのワイドスクリーンのような、
画面の使い方もダイナミックですしね。


縦に3枚並んだ『文覚上人那智の瀧荒行』も感動的です。
文覚上人が、那智の瀧に打たれるさまを
こちらは縦に3枚配置することで表現する、その発想に驚きました。

あと、動物をモチーフにした擬画シリーズは、国芳の真骨頂といったところ。
国芳のユーモアあふれる部分が色濃く出ていると思います。
猫、金魚、たぬきが、江戸の庶民みたいに生き生きと絵が描かれて、
国芳という人は、絵だけ限らず、生き方がすべて、”江戸”の粋をあらわしていますよね。

国芳は、江戸の庶民の風紀が乱れて
天保の改革のときに浮世絵や役者絵、美人画を禁止する
条例が出たときも、
浮世絵で時の老中をモチーフにして揶揄したりしているんです。
権力に対する強烈な反抗心と、
それをユーモアで表現する表現方法は、現代に生きる
僕たちにも共感することがあると思います。

今、大河ドラマ『平清盛』にて崇徳院を演じているですが、
実は、国芳は「崇徳院」が怨霊になって飛んでいたというシーンを描いていたりします。
そんなところにも僕は勝手にものすごい運命を感じています(笑)。


国芳の絵の中から好きな絵をもとにグッズを作ったのですが、
達磨から手足が生えてきたという絵
「流行達磨遊び」をクッションに仕上げました。
こういう浮世絵を立体物に仕上げてみるというのは、
今回の製作でこだわってみた部分ですね。

猫のだまし絵をモチーフに作ったTシャツは
シルエット部分を擦ると熱で、猫の柄が浮き上がってくるんです。
国芳のだまし絵の発想は表現として非常に刺激を受けましたね。


400点余の作品が、一堂に会している、これだけの規模の
国芳展というのは、初めてです。
浮世絵のサイズで表現された魚やくじら、かえるなどの生きもの、
この迫力を実際に見て驚いてほしいです。 

もちろん浮世絵から肉筆画に至るまで全部面白いものなんですけど
今回は、”木版”や、版木を彫る前の一番最初の段階スケッチなども展示してます。
完成体もまちがいなく素晴らしいのですが、
スケッチ、木版など、その創作過程が覗けるものが、
あるのはうれしいですね。

国芳は作品の裏にユーモア、怒りといったなんらかの感情を
こめるタイプの人なので、いろいろ感じ取ったりするのも楽しい。
子供たちの表情ひとつとっても、
目の焦点あってない子供を描いて、
子供の純粋さや怖さなどを表していたりと、
こういう”仕掛け”が、あらゆる絵に込められている。
細部までしっかり見て、いろんなしかけと表現を感じ取ってほしいです。
いっぱいあるので見るのも時間もかかりますよ(笑)。

「没後150年 歌川国芳展」 特別インタビュー 井浦 新さん

「没後150年 歌川国芳展-幕末の奇才浮世絵師-」#1

2011kuniyoshi2.jpg
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